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Case Study

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東急電鉄株式会社様

駅防護無線のシステム更新を通じて
設備のスリム化に貢献

鉄道業界では、設備のスリム化とメンテナンスの簡素化が重要なテーマです。東急電鉄株式会社様の案件では、重要な設備である駅防護無線の更新にあたり、設備のスリム化に必要となる接点伝送装置をゼロから設計・開発及び製造しました。

東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 電気部

電気計画課 課長補佐 青戸 大介様(左)
プロジェクト推進課 主事 西澤 康秀様(中央)
プロジェクト推進課 斎藤 聖也様(右)

駅防護無線の役割と八洲電機が設計·製造した接点伝送装置について教えてください。

駅構内で危険が生じた際に非常停止ボタンを押すと、近隣の列車に知らせ運転士が緊急停止させる、駅防護無線というシステムがあります。これは、非常に重要な設備の1つですが、現状のシステム老朽化に伴う更新が必要でした。更新時の重要テーマは、設備点数の削減によるメンテナンス時の業務の省力化やコスト抑制でした。従来の駅防護無線システムでは、駅ごとに無線機を配置しましたが、新システムでは一定の中継地点に無線機を設置し複数駅の情報を集約します。これにより、無線機の数を2割程度削減しましたが、駅を特定するための新たな接点伝送装置の設置が必要でした。今回、八洲電機さんには、この当社独自の接点伝送装置の設置を依頼し、ゼロから設計·製造をお願いしました。

八洲電機を採用した理由や実際の対応についてご評価ください。

八洲電機さんとは、当社の電力系及び保安系システムでも導入実績があり、信頼感がありました。発注先選定時には、接点伝送装置企画案をいち早く図面化されるなど提案内容等を踏まえ、八洲電機さんにお願いしました。今回の接点伝送装置は、当社でも初めての導入でしたが、何度も仕様打合せを行い、具体的な仕様が早期に決まりました。また、装置の設置場所は限られているため、設置場所のスペースに合わせた仕様としたほか、メンテナンスがしやすいシンプルな設計でご対応いただきました。

また、接点伝送装置の試験は、各駅で列車無線やLCX※1等の全体システム設置後の最終段階となります。駅ごとの切り替え確認は、夜間作業で1駅に一晩かかり、最初にシステムを導入した多摩川線、池上線では、全22駅への対応で長丁場となりました。個別の確認はもとより、各路線一斉に行う最終の切り替え作業は、さらに確実性が求められます。コロナ禍で部品等の納期遅延もある中で、週に一度の工程会議を実施するなど厳しい作業条件に対応いただき、納期どおりに完了いたしました。

※1: LCX(漏洩同軸ケーブル:Leaky Coaxial Cable):微弱な電波を均一に放射し、安定した無線LAN通信を実現する特殊構造の同軸ケーブル。

今後の取組みテーマと八洲電機グループへの期待をお聞かせください。

おかげさまで2023年3月に東急全線(世田谷線及び目黒線を除く)で、駅防護無線システムを導入完了しました。しかし、これは新たなスタート、次の更新時期までシステムを安定稼働させて初めて成功です。現在、鉄道事業における保守メンテナンスは、人による定期検査からCBM※2への転換がテーマです。CBMを進める第一段階として、現場の遠隔監視システムの整備が必要ですが、インターフェースが異なる設備をいかに統合するかなど、現実的なハードルもあります。さらに、東横線では2023年3月からワンマン運転を順次開始しましたが、将来的には無人運転も視野に人が介在しない、より安全な仕組みを考える必要があります。今回の接点伝送装置の開発を通じて、商社イメージが強かった八洲電機さんの設計·開発力を改めて感じました。ぜひ、今後も私どもの様々なテーマに対し多角的な提案、サポートをいただけることを期待しています。

※2:CBM( 状態基準保全:Condition Based Maintenance):線路設備のデータを分析し、状態を把握したうえで、最適なタイミングでメンテナンスを行うこと。

大井町線車両「6020系」(左)
田園都市線車両「2020系」(右)

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